DM発送やカタログ送付の際、最も発生しやすいトラブルが「封入封緘のミス」です。
宛名と異なる内容物が届く、封入物の数が足りない、シール位置がズレている——このような失敗は、企業の信用失墜につながる重大な事故です。
本記事では、封入封緘ミスがなぜ起きるのか、どのような対策があるのか、そして自動化による完全防止の仕組みまで、実務的で詳細に解説します。
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封入封緘ミスが起きる主な原因

人為的ミス(作業者の確認漏れ・勘違い)
大量の手作業になると、どうしても「ヒューマンエラー」が発生します。複数の作業者が関わる場合、引き継ぎ時の指示漏れやコミュニケーション不足が原因となることも多いです。
特に、以下のような状況で人為的ミスが増加します:
- 作業者の集中力が低下している(疲労、単調作業)
- 作業フロー(手順)が明確でない
- チェック項目が曖昧である
- 急ぎの案件で確認を省略している
セット間違い(1通に複数枚/逆に不足)
封入物が複数ある場合、「1通に2種類のチラシが入る」「チラシが1枚足りない」というセット間違いが発生します。
特に以下が原因になります:
- 異なるサイズの印刷物があり、積み重ねた時に数え間違える
- ランダム封入(複数のセットから無作為に選ぶ)での選別ミス
- 事前仕分けの段階で既に間違っている
宛名と内容物の不一致
最も重大なミスが「宛名と異なる内容物が同梱される」ケースです。
例えば:
- A顧客向けの割引クーポン(30%OFF)がB顧客に届く
- 個別にカスタマイズされた提案書が誤った企業に届く
- 機密情報を含むDMが関係のない企業に誤配される
このミスが発生すると、単なる作業ミスでなく、顧客情報の混在という深刻な問題になります。
封入物のサイズ・向きの問題
印刷物のサイズが異なる場合、「大きい方が先に落ちて小さい方が埋もれてしまう」といった物理的な問題が発生します。
また、向きが揃っていないと、郵送中に内容物が詰まったり、受取人が開けにくくなったりします。
ランダム封入が原因の混乱
複数の異なるセットから「ランダムに」選んで同梱する場合、システムなしに手作業で行うと、確認に膨大な時間がかかり、ミスの温床になります。
手作業の限界(検品・照合作業の限界)
最終的に「目視による検品」「数の確認」に頼ると、疲労による見落としや、数え間違いが避けられません。
特に、月に数十万部を発送する企業では、100%の確認は物理的に不可能に近いです。
封入封緘のミスを防ぐ対策(基本編)

ダブルチェック体制の構築
最も基本的かつ重要な対策が「2人以上による確認」です。
作業フロー:
- 第1段階:作業者A が封入・封緘を実施
- 第2段階:作業者B が内容物の確認
- 第3段階:作業者C が宛名と内容物の一致を確認
ただし、この方法の限界は「人数が増えるほどコストが増加する」ことです。また、複数の人が関わるため、責任が曖昧になるリスクもあります。
手順書の標準化
「何をどの順序で確認するか」を文書化し、すべての作業者が同じプロセスを実行することで、ミスの源を減らします。
手順書に含めるべき要素:
- 事前準備(材料の仕分け、整列、数量確認)
- 各工程での確認項目
- ミスが見つかった場合の対応手順
- 最終検品のチェックリスト
現場の動線・作業台レイアウト改善
物理的なレイアウトを工夫することで、ミスの発生を未然に防ぎます。
例:
- 入口に「仕分けエリア」を設置(材料を種類別に整列)
- 中央に「作業エリア」(封入作業)
- 奥に「検品エリア」(確認)
- 出口に「出荷エリア」(最終チェック)
この流れ作業的な配置により、ミスを発見する機会が増えます。
封入物の事前仕分け・整列
封入作業に入る前に、すべての材料を「種類別」「数量別」に正確に分けておくことが重要です。
工程:
- チラシA:1,000枚(10束)
- チラシB:1,000枚(10束)
- クーポン:1,000枚(10枚×100束)
このように明確に区分しておくと、作業中に「どの材料が足りなくなった」ということに気づきやすくなります。
作業工数の削減(工程を減らす)
多くの人手が必要な作業は、その分ミスが増えます。工程数を減らすことも重要です。
例:
- 従来:印刷 → 仕分け → 一時保管 → 封入 → 検品 → 発送
- 改善:印刷 → 直接封入 → 自動検品 → 発送
封入封緘ミスを減らす仕組み(デジタル管理)

バーコード照合によるセットミス防止
【設備説明】バーコード照合システム
各グループの材料にバーコードを付け、スキャナーで読み込むことで、正しいセットが揃っているか自動確認します。
仕組み:
- 事前に「セットA = チラシ1 + チラシ2 + クーポン」と定義
- 各材料にバーコードを印刷
- 作業中にスキャナーで読み込むと、「セットが完成した」と自動認識
- 間違ったセットなら、警告音が鳴る
メリット:ヒューマンエラーが大幅に減る
シリアル番号で内容物を管理
各DM送付物に個別の「管理番号」を印刷し、どの内容物がどこに行ったかを追跡可能にします。
利点:
- 誤配を発見した時に、「どの段階でミスが起きたか」を特定できる
- 顧客からのクレーム対応が迅速になる
可変データ印刷(バリアブル)で封入内容を統一
【DM発送代行ドットコム対応】可変データ印刷
顧客ごとに異なるデータ(顧客名、住所、クーポン内容など)を印刷する際、同時にそのデータセットに対応する「内容物」も自動で指定します。
例:
- A顧客向けDM:顧客名「A」+ クーポン「30%OFF」+ チラシ「新商品」を自動セット
- B顧客向けDM:顧客名「B」+ クーポン「20%OFF」+ チラシ「既存商品」を自動セット
このようにデータと連動させることで、宛名と内容物の不一致を根本的に防ぎます。
ピッキングBCシステムの導入(入れ間違い防止)
【設備説明】商品ピッキングBCシステム
倉庫や作業現場で「どの商品をどこから取るか」を指示するデジタルシステムです。
流れ:
- 作業者が指示画面を確認 → 「チラシA を棚5から取得」と表示
- チラシAのバーコードをスキャン → 正しい商品か自動確認
- 間違っていたら警告 → 作業者が取り直す
利点:セット間違いがほぼゼロになる
封入・封緘の自動化でミスをゼロに近づける
自動封入機によるセンサー検知機能
【設備説明】自動封入機・紙枚数計数機・丁合機
DM発送代行ドットコムが保有する大型の自動封入機には、複数の検知機能が搭載されています:
- 紙枚数計数機:各材料が指定の枚数揃っているか自動カウント
- 丁合機:複数の異なる用紙を正確な順序で揃える(丁合)
- 重量検知センサー:1通の総重量を測定し、材料の過不足を検知
これらのセンサーが「ピッピッ」と反応すれば、その通は自動で選別され、人の目に再度チェックされます。
メリット:機械は疲れないため、数百万部でも一定の品質を保持
OPP封筒封入機による高精度対応
【設備説明】OPP封筒封入機
透明なOPP素材の封筒に自動で内容物を挿入する機械です。
特徴:
- 透明素材のため、内容物の確認が目視で可能
- 封入位置が自動調整されるため、内容物のズレが少ない
- 小ロットから大ロットまで対応可能
活用場面:
- ブランド企業の高級感が必要なDM
- 内容物を見せたいキャンペーン
- 小ロット&個別対応が必要な場合
自動封緘機によるシールミス防止
【設備説明】自動封緘機
封筒の封(シール)を自動で行う機械です。
メリット:
- シール位置が常に一定(ズレなし)
- 接着剤の量が均一(剥がれやすくなるリスク低減)
- 封筒の上下逆や斜めなどのエラーを自動検知
シュリンク包装によるミス防止
【設備説明】シュリンク包装機・エアー緩衝材製造機
複数の印刷物や商品をまとめてシュリンクフィルムで梱包する方法です。
利点:
- 内容物がまとまるため、郵送中のバラバラ化を防止
- エアー緩衝材も同時に製造・梱包できるため、破損リスク低減
- 高級感が出るため、ブランド価値向上
大量DMは自動化との相性が良い理由
月間1,000部程度の小ロットなら手作業でも対応可能ですが、10,000部以上の大量発送では自動化が必須です。
理由:
- 手作業のみのミス率は「0.1~1%」程度必ず発生する
- 10,000部で0.5%のミスなら、50部が誤配される計算
- 機械による自動化なら「ミス率 0.01%以下」を実現可能
つまり、大量発送こそが「品質保証」を真に実現する場面です。
複雑案件は「機械×人のハイブリッド対応」で最高精度を実現
ここで重要なポイントが一つあります。すべての作業が「単純で標準化できる」わけではありません。
例えば、以下のような複雑な案件では、機械だけの自動化では対応できません:
- 複数のランダムセットを組み合わせる際の、個別調整が必要な場合
- 特殊な資材や形状の異なる封入物の組み合わせ
- 顧客ごとの「例外対応」(特定顧客だけ異なる内容物など)
- 品質確認が必要な高級印刷物やブランド企業のDM
これらの案件こそが、「機械 + 熟練スタッフの目視対応」のハイブリッド体制で真価を発揮します。
具体的には:
- 【機械の役割】バーコード照合、重量検知、自動計数で「標準部分」を自動化
- 【人の役割】複雑な判断が必要な部分、最終品質確認、例外対応を実施
- 【結果】「標準部分は高速・高精度」「複雑部分は柔軟・正確」の両立が実現
このハイブリッド体制により、DM発送代行ドットコムは以下のような高難度案件にも対応できます:
- 医療機関の患者向け説明資料(個別カスタマイズ + 厳格な品質管理)
- 金融機関の機密通知物(セキュリティ + 正確性の両立)
- 複数商品の試供品セット(ランダム + 各セットの品質確認)
- ブランド企業の高級DM(デザイン品質 + 配送品質の完璧性)
機械だけの業者は「標準的で大量」の案件には強いですが、複雑・小ロット・高品質が必要な案件では対応できません。逆に、人手だけの業者は複雑案件には対応できますが、大量発送でのミスリスクが高まります。
DM発送代行ドットコムの真の強みは、この「機械と人の最適な組み合わせ」で、あらゆる難度の案件に対応できることです。
ランダム封入を正確に行うための対策
商品ピッキングBCシステムによる自動指示
複数の異なるセット(例:セットA、セットB、セットC)から「ランダムに」選んで同梱する場合、デジタルシステムが「次はセットAを取得」と指示します。
スタッフはその指示に従い、バーコードをスキャンして確認するだけで、ランダム性と正確性を両立できます。
バーコード付き封入物の管理
各セットの材料にバーコードを付けることで、「どのセットが何部使われたか」を自動追跡可能になります。
セットリストのデータ化
「セットA = 部品1 + 部品2 + 部品3」というリストをデータベース化し、指示システムが自動で確認します。
照合ソフトの利用
作業終了後、「使用した材料」と「予定した材料」を照合するソフトで、不足や過剰がないか自動チェック。
検品のデジタル化(二重チェックとの違い)
手作業の「二重チェック」(人が2回確認)ではなく、「デジタル検品 + 目視確認」の組み合わせが最も効率的です。
例:
- デジタルで「セット内容が一致しているか」を確認 → 99%の精度
- 残り1%のリスク(機械の故障など)を目視で確認 → 99.99%の精度に
封入封緘を外注するメリット
大量作業のミスが減る
専門業者は、大量の作業経験から「ミスが起きやすい環境」「ミスを防ぐシステム」を熟知しています。
また、上記で説明した「自動化設備」を導入しているため、手作業よりもはるかに精度が高いです。
人件費の削減
自社で月間10,000部のDM封入をしようとすれば、スタッフの時給を考えると相応のコストがかかります。
外注に切り替えることで、その人員を別の業務に回し、総合的なコスト削減を実現できます。
設備投資不要
自動封入機、封緘機、シュリンク包装機といった高額設備に投資する必要がなくなります。
個人情報漏洩リスクの低減
多くの企業スタッフが個人情報を扱うと、その分情報漏洩のリスクが高まります。
セキュリティ認証(プライバシーマークやISMS)を取得している専門業者に委託することで、リスクを集約でき、企業の責任範囲も明確化できます。
可変データ印刷(バリアブル)との相性
顧客ごとに異なる内容物を自動で同梱する場合、システムとプロセスが一体化している専門業者の方が、はるかに効率的かつ正確に対応できます。
封入封緘代行の選び方
自動封入・封緘機の設備を保有しているか
完全手作業のみの業者ではなく、上記で説明した「自動封入機」「紙枚数計数機」「重量検知」などの設備を持つ業者を選ぶことが重要です。
ランダム封入に対応しているか
複数のセットを無作為に組み合わせる必要がある場合、「ランダム封入対応」の業者を選んでください。
OPP封筒・紙封筒の両方に対応しているか
キャンペーンによって、高級感が必要な場合もあれば、コスト重視の場合もあります。両方に対応できる業者が柔軟です。
情報セキュリティ認証(プライバシーマーク等)を取得しているか
個人情報を大量に扱う業務のため、プライバシーマーク(Pマーク)またはISMS認証を取得している業者を必須条件としてください。
これらの認証がない業者に個人情報を預けることは、企業のコンプライアンスリスクになります。
大量発送をワンストップで対応可能か
印刷、可変データ印刷、封入、シュリンク包装、郵便出しまで、すべてを1社で対応できる業者を選ぶと、管理が楽になります。
封入封緘ミスは「システム」で防ぐ
封入封緘のミスは、人の努力だけでは限界があります。
重要なのは以下の3つの層による対策です:
- 1. プロセスの最適化:手順書、レイアウト改善、事前仕分け
- 2. デジタル管理:バーコード照合、可変データ印刷、ピッキングBCシステム
- 3. 自動化設備:紙枚数計数機、丁合機、重量検知、自動封入機、自動封緘機、シュリンク包装機
これらの対策を組み合わせることで、業界最高水準の品質を実現できます。
特に大量のDM発送を予定している企業は、こうした対策を有する専門業者への外注を強くお勧めします。
お問い合わせ
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ぜひご相談ください。
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【単純な大量発送から、複雑な個別対応まで対応可能】
「こんな案件、対応できるのかな…」という複雑な要件こそが、
当社の「機械×人のハイブリッド体制」で実現できる領域です。
